ビジネスのための日本語

Notes from the textbook ビジネスのための日本語: Getting Down to Business: Japanese for Business People (Lower Intermediate Level) by Yoneda Ryusuke, Fujii Kazuko, Shigeno Mie, and Ikeda Hiroko

第一課 (Chapter 1) ― Introductions 紹介 [しょうかい]

社会の人に自己紹介する時には、まず名刺を渡【わた】します。ですから名刺はいつも準備【じゅんび】しておきましょう。また紹介する時は、先に社外の人に社内の人を紹介します。

自己紹介する

社内
A: ― 本社からまいりました山田と申します。よろしくお願いします。
B: ― チャンと申します。こちらこそ、よろしくお願いします。

社外
A: ― コスモ商事[しょうじ]の山田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
B: ― 担当「たんとう」の小林と申します。こちらこそ、よろしくお願いいたします。

他の日とを紹介する

社内
A: ― (Cに)うちの部の山本さんです。
    (Bに)こちらは本店の高橋さんです。
B: ― 山本です。はじめまして。
C: ― 高橋です。はじめまして。

社外
A: ― (Cに)ご紹介します。課長の伊藤「いとう」です。
    (Bに)こちらは販売担当の吉田さんです。
A: ― 伊藤でございます。いつもお世話になっております。
B: ― 吉田でございます。こちらこそ、お世話になっております。

名刺「めいし」

日本のビジネス社会では、始めてあった時に、まず名刺を交換【こうかん】します。そのために、会社が社員に名刺を作って与【あた】えています。名刺を交換する時には、次のことに気をつけましょう。

まず、相手【あいて】の名刺は大切【たいせつ】に扱【あつか】わなければなりません。名刺を受け取った時は、名刺の端【はし】を持ち、相手の名前の上に指【ゆび】を置【お】かないようにします。もちろん、汚【よご】したり折【お】ったりしてはいけません。また、名刺を受け取ったら、必【かなら】ず相手の名前を確認【かくにん】し、名刺に書いてあることについて、いくつか質問【しつもん】するといいでしょう。会社の場所【ばしょ】や肩書【かたが】きなどから話題【わだい】を見つければ、スムーズに会話につなげることができるからです。このように、名刺を正【ただ】しく上手に扱うことは、日本でのビジネスを成功【せいこう】させる第一歩【だいいっぽ】となるでしょう。

Miscellaneous Notes

  1. 肩書「かたが」きの名前 = humble
  2. 名前+肩書き = honorific
  3. When introducing two people of different ranks, you should introduce the junior person or person closer to you first.
  4. When introducing people from inside and outside your company to each other, you should introduce the person from your company to the other person first. You should not introduce your section manager as “伊藤課長です” but as “課長の伊藤です”.
  5. でございます is used instead of と申します when giving your name to someone who already knows it, even if you are actually meeting them for the first time.
  6. (いつも)お世話になっております should be used at the beginning of conversations with people from client companies, even if you are meeting them for the first time.
  7. まあ、とにかく is used when you want to finish a conversation.
  8. When you say your own name, use でございます. When you say other people’s names, use でいらっしゃいます.

第二課 (Chapter 2) ― Greetings あいさつ

仕事をスムーズに進【すす】めるためには、人間関係【にんげんかんけい】が大切【たいせつ】です。そして良【よ】い関係を作るためには、まず、あいさつをすることから始めましょう。社内でも社外でも、人に会った時は自分からあいさつをするようにしましょう。

出社「しゅっしゃ」した時のあいさつ

社内
A: ― おはようございます。
B: ― おはようございます。
A: ― きのうはごちそうさまでした。
B: ― いいえ、どういたしまして。

退社「たいしゃ」する時のあいさつ

社内
A: ― まだ帰らないんですか。
B: ― ええ、まだ明日の会議の準備「じゅんび」が終わらないんですよ。
A: ― そうですか。大変ですね。では、お先に失礼します。
B: ― お疲「つか」れさまでした。

再開「さいかい」した時のあいさつ

社外
A: ― どうもお待たせいたしました。
B: ― いいえ。先日はどうもありがとうございます。
A: ― いえ、こちらこぞ。今日はお忙しいところありがとうございます。

別「わか」れる時のあいさつ

社外
A: ― では、そういうことで。
B: ― そうですね。それでは、そろそろ失礼いたします。
A: ― 今日はお忙しいところありがとうございます。

久「ひさ」しぶりに会った時のあいさつ

社内
A: ― リーさん、お久しぶりですね。
B: ― そうですね。どうですか、最近「さいきん」。
A: ― ええ、相変「あいか」わらずですよ。

社外
A: ― ごぶさたしております。
B: ― いえ、こちらこそ。お変わりありませんか。
A: ― ええ、おかけさまで。

あいさつの後で

他の会社を訪問【ほうもん】して担当者【たんとうしゃ】に会った時、初対面【しょたいめん】ならまず自己紹介をしますが、初対面でなければ、「先日はどうも」というようなあいさつをします。その後ですぐに用件【ようけん】に入っては事務的【じむてき】な印象【いんしょう】を与【あた】えてしまうので、その前に簡単【かんたん】な雑談【ざつだん】をすることが多いようです。

それでは、どんな話題【わだい】を選【えら】んだらいいのでしょうか。まず考【かんがえ】えられるのは天気の話です。季節【きせつ】によって、「ずいぶん暖【あたた】かくなりましたね」とか、「すっかり涼【すず】しくなりましたね」などというように話を始めることができます。それから最近【さいきん】のニュースについて話すこともできます。主【おも】なニュースを新聞【しんぶん】やテレビでチェックしておくと、このような時に役【やく】に立【た】つでしょう。また相手のことをよく知っている場合【ばあい】は、相手の家族【かぞく】や趣味【しゅみ】などについての話もできるでしょう。このように、雑談の話題はいろいろなところから見つけることができます。その場に合った話題を上手に見つけて話をすれば、和【なご】やかな雰囲気【ふんいき】を作ることができ、大切な用件へとスムーズに話を進めていくことができるのです。

Miscellaneous Notes

  1. Sometimes 中 is used instead of ところ.
  2. Depending on the situation, you can use きのうはありがとうございました、きのうは本当にたすかりました, etc.
  3. When someone has come to visit you at your request, 今日は~ところありがとうございます is used at the beginning of the conversation to show your appreciation. At the end of the conversation, 今日は~ところありがとうございました is used.
  4. では、そういうことで is used when you want to finish a conversation at the point of a certain conclusion.
  5. そろそろ失礼します is used to indicate that it is time that you left.
  6. おかげさまで is used when everything is going well and you want to show appreciation to someone who has done something for you or taken care of you in some way.
  7. 早速【さっそく】ですが is used to indicate you will turn to the main topic to be discussed. It is used after opening remarks or catching up on news at the beginning of a conversation.

第三課 (Chapter 3) ― Permission 許可 [きょか]

休みを取りたい時は、てきるだけ早く上司【じょうし】に話して許可をもらいましょう。また仕事が終わらなくて残業【ざんぎょう】しなければならない時も、必【かなら】ず上司に許可をもらわなければなりません。

意向「いこう」を尋「たず」ねて許可を求「もと」める

社内 ― 許可する
A: ― ちょっとこのOHP、使ってもいいですか。
B: ― ええ、いいですよ。
A: ― じゃ、ちょっと使わせてもらいますね。

社内 ― 許可しない
A: ― ちょっとこのOHP、使ってもいいですか。
B: ― すみません。今、使うところなんですよ。
A: ― ああ、そうですか。じゃ、いいです。

社外 ― 許可する
A: ― 明日伺「うかが」ってもよろしいでしょうか。
B: ― ええ、どうぞ。
A: ― では、そうさせていただきます。

社外 ― 許可しない
A: ― 明日伺「うかが」ってもよろしいでしょうか。
B: ― 申し訳ございませんが、明日は外に出ておりまして。。。
A: ― ああ、そうですか。

可能性「かのうせい」を尋ねて許可を求める

社内 ― 許可する
A: ― すみません。今日の午後、第一会議室「かいぎしつ」使えますか。
B: ― ええ、大丈夫「だいじょうぶ」ですよ。
A: ― じゃ、2時ごろから使います。

社内 ― 許可しない
A: ― すみません。今日の午後、第一会議室「かいぎしつ」使えますか。
B: ― それが、もう予約「よやく」が入っているんですよ。
A: ― そうですか。わかりました。

休暇「きゅうか」

日本の企業【きぎょう】では、年末年始【ねんまつねんし】、夏季休暇【かききゅうか】などのほかに、年に十日間から二十日間ぐらいの有給【ゆうきゅう】休暇があります。他の国ではどうでしょうか。例えば知人のアメリカ人(30歳)は、今年十四日間の休暇と十日間の病気休暇をもらっているそうです。休暇の日数【にっすう】では日本とだいたい同じのようです。

しかし、日本では、多くの有給休暇を使わないで残【のこ】してしまっている人も多いようです。それは、一つは、日本では職場【しょくば】の和【わ】が大切にされているからでしょう。自分が休む場合も、まず他の人のことを考えて、迷惑【めいわく】がかからない時に休暇を取るようにするので、休暇を取るチャンスを失【うしな】う人も多いのです。また、仕事が忙しくて休暇が取れないこともよくあります。

以前【いぜん】は、一般【いっぱん】に、休暇は権利【けんり】ではなく許可をもらって会社からいただくものだと考えられていたようです。しかし、最近では、このように考える人は非常【ひじょう】に少なくなってきています。

Miscellaneous Notes

  1. ~てもいいですか is used when you want to ask if it is okay to do something; for example, when you want to borrow something.
  2. じゃ、~(さ)せてもらいますね is used to confirm you have been given permission to do something that might possibly inconvenience the listener. In this case, させてもらいます shows the speaker’s feelings of humbleness.
  3. When you cannot give permission, you should give the reason. In this case, the speaker uses ところなんですよ to indicate the reason.
  4. 【potential form】ますか is used when you want to ask if something is possible or not; for example, when you want to use a room. With this usage, it is not necessary to use the humble させてもらいます.
  5. By not finishing a sentence, it acquires a softer and politer quality.
  6. ちょっとよろしいですか is used when you are checking if someone has the time to talk or listen to something you want to ask.
  7. ~はちょっと… is a vague expression used to refuse permission, decline invitations, etc., by stressing the inconvenience of the suggested time, place, etc.
  8. 考えておく[よ/わ] literally means the speaker is putting off making a decision, but in reality it can often be taken as a refusal. So if you request or ask for anything and this is the answer, the chances that you are hearing a refusal are very high.
  9. 悪いけど is used to indicate you are trying to say something difficult.
  10. じゃ、しょうがないなわねis used to indicate you understanding and acceptance of someone’s refusal.

第四課 (Chapter 4) ― Request 依頼 [いらい]

依頼【いらい】する時は、頼【たの】む相手と内容【ないよう】を考【かんが】えて、言葉【ことば】を選【えら】ばなければなりません。上司や社外の人に対【たい】しては、いつも丁寧【ていねい】な表権【ひょうげん】を使いますが、同僚【どうりょう】に対しても、大変な仕事を依頼する時には、丁寧な表現を使ったほうがいいでしょう。

依頼する

社内 - 受ける (agreeing)
A: ― ちょっとこれをアジア銀行へ届「とど」けてもらえません。
B: ― はい、わかりました。
A: ― じゃ、お願いします。

社内 ― 断「ことわ」る (declining)
A: ― ちょっとこれをアジア銀行へ届「とど」けてもらえません。
B: ― すみません。この仕事、急「いそ」ぎなんです。
A: ― じゃ、お願いします。

社外 - 受ける (agreeing)
A: ― できましたら、この製品「せいひん」を使ってみていただきたいんですが。
B: ― そうですね。じゃあ、使ってみましょう。
A: ― じゃ、よろしくお願いします。

社外 ― 断「ことわ」る (declining)
A: ― できましたら、この製品「せいひん」を使ってみていただきたいんですが。
B: ― 申し訳ございませんが、それはちょっと。。。

依頼する

社外 - 受ける (agreeing)
A: ― 今回の件で、ぜひ専務「せんむ」と一度お話ししたいんですが、何とかお願いできませんか。
B: ― 承知「しょうち」いたしました。

社外 ― 断「ことわ」る (declining)
A: ― 今回の件で、ぜひ専務「せんむ」と一度お話ししたいんですが、何とかお願いできませんか。
B: ― 申し訳ございませんが、それはちょっと難「むずか」しいですね。

紹介を頼【たの】む

紹介をしてもらうことは、新しい顧客【こきゃく】を得【え】るうえで大変有効【ゆうこう】です。日本では各社【かくしゃ】の商品【しょうひん】のレベルがほとんど同じなので、ビジネスを進【すす】めていく時人と人とのつながりが重要【じゅうよう】になるのです。では、どのような人を紹介してもらえばいいのでしょうか。中小企業【ちゅうしょうきぎょう】の場合は、経営者【けいえいしゃ】が会社の経営方針【けいえいほうしん】を決定【けってい】しているので、経営者を紹介してもらうようにします。大企業の場合は、課長クラスが方針の決定に大きく関【かか】わっているので,担当【たんとう】課長を紹介してもらうのがいいでしょう。このように、決定権【けっていけん】を持っている人と話をするのが、商談成立【しょうだんせいりつ】の近道【ちかみち】となるのです。

Miscellaneous Notes

  1. ~てもらいませんか should only be used to your colleagues or subordinates. It could sound impolite if used to your superiors or people you don’t know very well.
  2. When you decline someone’s request, simply saying できません sounds abrupt. Using the above expression together with the reason for declining greatly softens the refusal.
  3. できましたら、~ていただきたいんですが, which is in the form of a hope or wish, is an indirect way of making a request.
  4. それはちょっと難しいですね is used when the speaker wants to indicate that someone’s request is probably too difficult to meet.

第五課 (Chapter 5) ― Inviting 誘い [さそい]

日本ではビジネスをスムーズに進【すす】めるために、取引先【とりひきさき】を食事やゴルフに招待【しょうたい】することがあります。仕事以外【いがい】に個人的【こじんてき】なつきあいをすることが、日本でのビジネスをうまく進【すす】めるために重要【じゅうよう】になる場合もあるということを知っておきましょう。

誘う

社内
。。。てすけど、よかったら、一緒に_-ませんか。
受ける ― ええ、喜んで|ぜひ|いいですね|面白そうですね。
断る ― ちょっと都合が悪いんで。。。

社外
。。。ですが、よろしきえれば、参加なさいませんか
受ける ― はい。(ぜひ)そうさせていただきます。
断る ― お誘いはありがたいんですが、会議に参加するのはちょっと難しいですね。
― 折角(せっかく)なんですが、。。。

勧める

社内
。。。お茶でもどうですか
受ける ― ああ、いいですね
断る ― ありがとう。それが、理由(りゆう)ん(なん)ですよ。

社外
何かお飲み物でもいかがですか。
受ける ― ありがとうございます。
断る ― いえ。どうぞお構(かま)いなく。

職場の和

日本では職場【しょくば】の人とお酒を飲む機会【きかい】がありますが、これは「宴会【えんかい】」または「飲み会」と呼【よ】ばれ、代表的【だいひょうてき】な例【れい】は忘年会【ぼうねんかい】や新年会です。しかし、そのような特別【とくべつ】な機会でなくても、仕事の後で「今晩、一杯【いっぱい】どう」とか「近くにいい店ができたんだけど」などと言って誘【さそい】い、お酒を飲みながら、仕事や趣味【しゅみ】、家族【かぞく】、あるいは最近のニュースなどについて、話したりします。また近頃【ちかごろ】は、お酒を飲みに行く以外【いがい】に、カラオケに行ったり、昼御飯【ひるごはん】を食べたりすることも多いですが、こうしたコミュニケーションは、お互【たが】いを知るためにとてもいい機会だと考えられています。日本の企業【きぎょう】で大切だと考えられている職場の和は、こんなことからも生まれるようです。日本でビジネスをうまく進めるためには、こうした「和」という考え方も大切でしょう。

Miscellaneous Notes

  1. ましょうか is used when the speaker is fairly certain that the listener will join in the activity being suggested. If he is not sure, ましょうか can sound pushy, and so ませんか is used instead.
  2. When declining anything, it is abrupt to simply say “no.” So, to soften your refusal, gently give the reason for declining. This is the same as with declining requests.
  3. With でも, what is being offered is not limited to the thing mentioned. This makes the offer sound less forceful.
  4. If the speaker starts with それが, the listener can anticipate that his invitation is going to be declined. After それが, only the reason for declining should be given. As always, it is very abrupt to simply say “no” directly.
  5. そうさせていただきます is used when you accept someone’s invitation and want to show him your respect for his consideration.
  6. It is difficult to decline invitations from people who do not belong to your group. Consequently, it is very important to show your gratitude in order to ensure the relationship continues running smoothly.

第六課 (Chapter 6) ― Telephoning 電話

日本語では「うち」と「そと」という考え方があり、特【とく】に社外からの電話に出る時は、この「うち」と「そと」の言葉【ことば】の使い分【わ】けが重要【じゅうよう】になります。相手の顔【かお】が見えない電話では、使う言葉によって人格【じんかく】が判断【はんだん】されてしまいますから、気を付けましょう。

電話を取り次ぐ (Answering the phone and putting people through)

社内
A: ― もしもし、企画部のスミスですけど、林さんいますか。
B: ― 林さんですね。今、代わります。
C: ― もしもし、林です。
A: ― スミスです。実は、ちょっと聞きたいことがあるんですけど。

社外
A: ― もしもし、SONYのスミスと申しますが、いすもお世話になっております。
B: ― こちらこそ、お世話になっております。
A: ― 課長の林様いらっしゃいますか。
B: ― 林でございますね。少々お待ちください。
C: ― お電話代わりました。林でございます。
A: ― スミスでございます。実は、商品説明(しょうひんせつめい)の件(けん)でお聞きたいことがあるんですが。

伝言を頼む (Asking to leave a message)

社内
A: ― もしもし、企画部のスミスですけど、林さんいますか。
B: ― 林さんですね。今、電話中ですが。
A: ― そうですか。じゃ、ちょっと伝えてもらいたいことがあるんですけど。
B: ― はい、どうぞ。

社外
A: ― もしもし、SONYのスミスと申しますが、いすもお世話になっております。
B: ― こちらこそ、お世話になっております。
A: ― 課長の林様いらっしゃいますか。
B: ― 申し訳ございません。ただ今、電話中でございますが。
A: ― そうですか。では、ちょっと伝えていただきたいことがあるんですが
B: ― はい、どうぞ。

伝言を申し出る (Offering to take a message)

社内
A: ― もしもし、企画部のスミスですけど、林さんいますか。
B: ― 林さんですね。今、席をはずしているんですが。
A: ― ああ、そうですか。
B: ― 何か伝えましょうか。
A: ― じゃ、お願いします。

社外
A: ― もしもし、SONYのスミスと申しますが、いすもお世話になっております。
B: ― こちらこそ、お世話になっております。
A: ― 課長の林様いらっしゃいますか。
B: ― 申し訳ございません。ただ今、来客中でございますが。
A: ― ああ、そうですか。
B: ― もしよろしければ、何かお伝えしましょうか。
A: ― では、お願いいたします。

「うちの会社」

日本のビジネスマンは、自分の勤【つと】めている会社のことを「うちの会社」あるいは「うち」とよく言います。日本人には「うち」と「そと」という考え方があり、「うち」というのは自分の所属【しょぞく】する世界【せかい】のことで、「そと」というのはそれ以外【いがい】の世界のことを意味【いみ】しているのです。

このように、自分の勤めている会社を「うちの会社」お言うところに、日本人と会社の関係【かんけい】の特殊性【とくしゅせい】があると言えるでしょう。つまり、これは会社に対【たい】する帰属意識【きぞくいしき】が強【つよ】いことを表【あらわ】しているのです。また、このことは日本の会社が一般【いっぱん】に終身雇用【しゅうしんこよう】であることとも深【ふか】く関係しているようです。

しかし、最近ではこうした終身雇用制【しゅうしんこようせい】などの従来【じゅうらい】のシステムを見直【みな】す会社が出てきました。また、働【はたら】き方も多様化【たようか】し、終身雇用にこだわらないで働く人も出てきています。このように、働く人と会社の関係が変【か】われば、「うちの会社」という言い方も変わっていくかもしれません。

Miscellaneous Notes

  1. When taking over a phone call from someone else, you use お電話代わりました to indicate that the speaker has changed. With internal phone calls it can be omitted, but for outside calls this expression gives a polite impression.
  2. ~ということですね is used at the end of summarizing something to confirm you have understood what you heard.
  3. ~と言っていました is used to convey a third party’s message. It means “someone said.”

第七課 (Chapter 7) ― Appointments アポイント (全部は社外)

相手の会社を訪問【ほうもん】する時には、訪問する前に電話でアポイントを取るようにします。そして、アポイントの日時【にちじ】が決【き】まったら、必【かなら】ず確認【かくにん】します。当日【とうじつ】は、約束【やくそく】の時間の5分前には、訪問先に着【つ】くようにしたほうがよいでしょう。

アポイントの申し入れ  (Asking for an appointment)

A: ― 来年度の採用計画(さいようけいかく)についてお聞きしたいことがございますので、お時間いただきたいんですが。
B: ― ええ、いいですよ。
A: ― では、いつがよろしいでしょうか。
B: ― そうですねえ。

曜日の設定 (Setting up the meeting day)

A: ― 来週の初めはいかがですか。
B: ― 来週の初めはちょっと。。。
A: ― そうですか。では、水曜日あたりはいかがですか。
B: ― ええ、水曜日でしたら、構(かま)いませんよ|けっこうですよ。

時間の設定 (Setting up the time)

A: ― 水曜日の何時ごろがよろしいでしょうか。
B: ― 水曜日なら何時でもかまいませんよ。
A: ― では、3時ごろはいかがですか。
B: ― ええ、いいですよ。

日時の確認と場所の設定 (Confirming the date and time and deciding where to meet)

A: ― それでは、15日水曜の3時ということでおろしいでしょうか。
B: ― ええ。
A: ― 御社のどちらに伺(うかが)いましょうか。
B: ― 私どものビルの1階受付にお越(こ)しください。

確認して電話を切る (Confirming the arrangements and ending the conversation)

A: ― では、御社の1階受付に15日水曜日の3時ということでございますね。
B: ― はい、お待ちしております。
A: ― ありがとうございました。失礼いたします。
B: ― 失礼いたします。

他社訪問

他社【たしゃ】を訪問【ほうもん】する時には、事前【じぜん】に訪問の約束【やくそく】をすることが多いですが、これを「アポイントを取る」とか「アポを取る」と言います。アポイントを取らないで訪問すると、先方【せんぽう】の担当者【たんとうしゃ】がいなかったり、担当者に時間がなくてゆっくり話しができないということがあります。

また、訪問の時間に遅【おく】れるのはマナーに反【はん】します。少し早【はや】めに、余裕【よゆう】を持って訪問すれば、落【お】ち着【つ】いて商談【しょうだん】ができるでしょう。

そして商談が進【すす】んできて取引先【とりひきさき】の担当責任者【たんとうせきにんしゃ】(部長以上)に会う時には、こちら側【がわ】も部長以上の責任者が同行【どうこう】してあいさつをするのが普通【ふつう】です。責任者同士【せきにんしゃどうし】のあいさつが商談を次の段階【だんかい】に進める働【はたら】きがあるからです。

第八課 (Chapter 8) ― Proposals and Offers of Help 提案(ていあん)・申し出

提案【ていあん】する時は、全体【ぜんたい】の目的【もくてき】や流【なが】れを把握【はあく】し、他の人の意見【いけん】をよく聞いてから自分の意見をいうようにしましょう。この場合、結論【けつろん】を先に言うのも、ビジネスの場では必要【ひつよう】なテクニックであることを覚【おぼ】えておきましょう。

申し出る

社内 - 受ける
A: ― 大変そうですね。手伝いましょうか。
B: ― ありがとう。助(たす)かります。

社外 - 受ける
A: ― よろしければ、会場を手配(てはい)いたしましょうか。
B: ― そうしていただけるとありがたいです。

社内 - 断る
A: ― 大変そうですね。手伝いましょうか。
B: ― ありがとう。でも、大丈夫ですから。

社外 - 断る
A: ― よろしければ、会場を手配(てはい)いたしましょうか。
B: ― せっかくですが、私どもでいたしますので。

会議で提案する (Making a proposal at a meeting)

社内
A: ― この件について何か意見がありますか。
B: ― もう少し他社の情報収集(じょうほうしゅうしゅう)をしたらどうでしょうか。

社外 (合同会議で)
A: ― 共同プロジェクトについて、何かご意見がございますか。
B: ― もう少しスケジュールを早めたらいかがでしょうか。

提案を通すための根回し

日本の会社では、仕事の会話として命令形【めいれいけい】が直接【ちょくせつ】使われることは少なく、婉曲表現【えんきょくひょうげん】が多く使われます。特【とく】に、上司【じょうし】や社外の人に提案【ていあん】する場合には「~してはいかがでしょうか」とか、「~と思いますが」のような丁寧【ていねい】な表現が使われます。また、日本の会社で提案する場というのは、多数【たすう】を相手に話す会議【かいぎ】の場ではないことを覚えておいたほうがよいでしょう。会議で自分の提案を通【とお】すためには会議の前に関係者【かんけいしゃ】とよく話し合って、みんなの合意【ごうい】を取っておかなければなりません。これは「根回し【ねまわし】」という言葉【ことば】で有名【ゆうめい】ですが、「根回し」は1対多数よりも1対1が多く、それだけに提案する時の相手に対する印象【いんしょう】も重要【じょうよう】です。ですから丁寧な表現や謙遜【けんそん】する表現も必要になるのです。

Miscellaneous

  1. ありがとうございます vs. ありがたいんです – the latter is more polite and more sincere.
  2. 合同 vs 共同 - both mean joint, but共同 implies cooperation whereas合同 doesn’t (so you can have a 合同プロジェクト but not a 共同会議).
  3. When you decline someone’s offer of help, you should show your appreciation for the offer before actually declining.
  4. Compared to ありがとうございます, the expression そうしていただけるとありがたいです is used when you want to sincerely show your gratitude for someone’s consideration. ありがたいです shows the speaker is pleased as well as grateful for someone’s consideration.
  5. Compared with ましょうか, which is used to seek other’s permission when offering to do something, わたしがやります simply states you are willing to do it.
  6. 【volitional form】か is used between colleagues or friends.
  7. わるい(わ)ねえ (it is bad) here means “I know it is troublesome, but can you…?”